9月の生活

まつばらの民話をたずねて

私たちの暮らしや生活様式、子どもたちの遊びなど、時とともに変わってきました。その月々の生活や行事など、昔はこんなことがあったのかと、今では懐かしいと思う行事や遊びなどを紹介していきます。

9月の生活

長月の文字
9月、お月見のイメージイラスト

いよいよ9月になると稲も実りに近づき、後は天の恵みによって稲刈りまでしっかりと稲を守らねばなりません。松原は綿も作っていました。
7月の20日過ぎから花を付けた綿が実となります。松原ではこの綿の実を「もも」と呼びました。この実がはじけて綿が見える形を「ももが割れた」と言います。結婚前の少女が結う日本の髪型に「桃割れ」があります。この髪型の名前は、綿の実がはじけた姿と似ているので桃割れの名前が付いたといわれます。綿はこの頃で1mほどの高さにそろって伸びています。実際はまだまだ高く伸びるのですが、「すえ切り」と言って茎や葉に栄養がいきすぎて、大切な「もも」に栄養が回らなくなることを防ぐために、だいたい小学校へ入学する子供の身長程度にそろえるのだそうです。松原では何cmにそろえるとか、何月何日に種まきといった暦による種まきや枝きりなどの作業規定の他に、このように子供の身長や自然の動植物の動きや生育で作業規定を決める事がたくさんあったようです。例えば小豆の植える時期は、柿の葉が小豆三粒包める大きさになった時といった教えによるものです。暦は奈良暦、伊勢暦は今も有名ですが、和泉暦が信太山辺りで発行されていて、それを使用したようです。今も和泉暦の家系は残っていますが、暦は作っていません。

さて9月は9月1日の八朔(はっさく)から始まります。八朔とは8月1日の事ですが、旧暦ですので、習慣行事の便宜から一月遅れの9月1日も八朔としたのだとおもわれます。ついては八朔は年中行事の節目のひとつでした。一日奉公先から休みをいただいて家に帰る人もいました。もちろん八朔は一日どこの家もやすみました。半夏至(はげっしょ)から八朔までは昼寝をする習慣がありましたが、この日から昼寝はなくなり夜なべ(夜の仕事)が始まります。人々はこの日の事を「嫌な八朔又夜なべ」と時候の挨拶代わりにも使いました。綿作りの作業では、八朔から横に広がった小枝や小さい「もも」を摘み取って捨てます。捨てた物はそのまま根本(ねもと)に置いておくと、小枝などは切っても生るために土の栄養を取る事もあるので畑の隅に置き、数日して枝が黒くなり腐ると根本に返すのだそうです。こうして、より効率の良い大きくて繊維のしっかりした「ももわれ」を作る準備にかかり、11月の収穫へと向かいます。

9月1日は八朔といって、休みをとる行事の日とは別に二百十日(にひゃくとおか)と言われ、台風が来るといって恐れられました。しかし松原では例年の統計からするとこの日に大抵台風は来なかったようで、15日頃から25~6日頃に来たようです。ともあれ俗に言われる二百十日の台風襲来日より十日後の9月10日を「風喜びの日」として一日やすみました。「風喜び」とは風が吹いて台風を呼ぶ等また、台風が来て稲が倒されるなどの被害を免れた喜びを表して一日休む日ですが、こうした事とは関係なくまた風、雨、台風が来る、来ないに関係なく休みを取ったようです。この休みの後稲刈りがあります。松原では祭りの日が統一されていなかったので、稲刈りは祭りが来る前に終えようとする家庭もあれば終わってからとする家庭もありで、それぞれでした。

9月15日はお月見でした。お供え物は数が決まっています。「柿13個、小芋14個、おにぎり14個、月見団子の数は決まっていなかったようです。高坏(たかつき)と言う細長い台の上が皿となっている漆塗りの器に力一杯にのせられる数だけ山盛りにもりつけたそうです。団子は直径一寸足らず五分余りの丸い団子で、現在餅やさんで売っている細長い餅団子にあんこを巻き付けた姿になったのはほんの最近で、それまでは見た事もなかったデザインだそうです。お菓子屋さんで聞いたところ半月の月にあんこを雲と見立てたのだろうとおっしゃっていました。満月を祝っているので現在の月見団子のように細長い団子の上にあんこで巻く姿は最近の品物だと思います。

団子のほかに月見の花を供えます。供えのお花はススキを必ず入れました。他は何でもいいのです。栗の実がついた小枝、女郎花(おみなえし)、田畔の草、などを束ねてススキの葉でくくり、ビンなり壷なりあるものに水を入れてさして供えます。供えた後は納屋などで逆さ吊りにしておき一週間ほどして適度に乾燥すると、泥棒よけのまじないとして裏木戸に一番多く掲げ、その他出入り口に適当に残った分量を分けて次の年のお月見が済むまで掲げておくのだそうです。

大阪府文化財愛護推進委員 加藤 孜子(あつこ)

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