10月の生活

まつばらの民話をたずねて

私たちの暮らしや生活様式、子どもたちの遊びなど、時とともに変わってきました。その月々の生活や行事など、昔はこんなことがあったのかと、今では懐かしいと思う行事や遊びなどを紹介していきます。

10月の生活

神無月の文字
9月、祭りの太鼓を叩く男性のイメージイラスト

 松原の池には『ひし』と『オニ蓮』が池の面を敷き詰めているイメージがありました。
当然今も池の様子は変化なしと思って気に止めていなかったところ新聞に『三宅の深淵池でオニバスの葉が五年ぶりに出現』(平成15年8月13日毎日、8月15日讀賣、8月16日産経、広報まつばらNo.550)とありました。驚いて近くの池、またその近くの池と自転車で走ったところ『たらい』(洗濯洗い用具の桶で深さのあるもの。松原ではこれを船にして乗り『ひし』の実を採った。栗のような味がする)程もあるオニバスの葉が姿を消していました。
十月に入ると楚々とした薄紫のオニバス花が終わりに近づいた姿が目に入ると、女性達は夜なべ仕事に蒲団の綿入れなど家族の冬支度を急いだそうです。

さて、十月には、亥の子、十夜、報恩講(12月は納報恩講)、秋祭り、獅子舞、相撲と子供達には楽しい行事が続きます。亥の子や十夜は10月の10日頃から20日頃にかけてに行われる行事でこの二つの行事を『秋あげ』とも言うそうです。『亥の子の餅を十夜で返えす(かやす)』の言葉があるように、松原では秋あげを二回に分かれて行う形態といえます。亥の子は、元々は山におられる田の神を春に迎えて(三月二十五日の春ゴト)豊穣を祈り亥の子で豊作の感謝を表した後、山へ帰っていただく行事だったとおもわれます。一般の伝承唄に『亥の子の晩に重箱ひろて、あけてみれば十兵衛さんの…』とありますが、明治生まれの男性が子供時代に天美地区では次のような唄を歌ったと昭和47年に採集しています。『今年の新藁祝いましょ、一の俵ふんばえて、二でにっこりわぁろて、三で盃さし会うて…中略…七つ何事ないように、八つやしろをおっぴろげ、九つ金剛(ここぜ)に倉建て、十(とう)でとうとう治まった』とあります。この唄からは『秋あげ』の行事を感じることができます。

報恩講は十夜と同じ頃に持ち回りで行われます。亥の子、十夜、報恩講は子供達が関与した行事で特に亥の子は子供達主導の行事であったようです。十夜と報恩講はふれ回り唄を唄って村中を走ったあと美味しいものを食べながら夜遅くまで古老から昔話など聞きながら気が付くと寺から帰って自分の蒲団に寝ていた記憶が、なんとも心地よくタイムトンネルを通って帰ったような気持ちであったと聞きました。
報恩講の唄に『今夜こちらの納報恩講、参ってくださいごしょ願い、ほんこのしもつき何じゃいな、芋と大根と人参(ねんじん)と、甘酒もつるつるや、…中略…じさんもばさんも参ってんか、寝てる子供はひきおこし』とあるように、先祖供養行事であるが、唄の内容からは甘酒に生姜もどっさりいれて、煮物も美味しく出来上がっているから年齢に関係なく一晩先祖の守りを皆でしましょうとした心がこの唄から伺えるように、高齢者から幼児まで楽しいひとときだったそうです。

十月一日は屯倉神社の秋祭りでした。この日から松原の各村々で秋祭りが催されました。今も秋とお正月前には山本源太夫の一行の獅子舞が来て家々の前で神楽を舞っていますが、秋祭りには地区単位で伊勢神楽をよんでいました。一軒一軒の門口でお初穂料の多少にあわせて色々な獅子舞の芸を披露して清めた後、三宅は屯倉神社で神楽舞(かぐらまい)のほか色々な芸をしてたのしませてくれました。新堂地区で昭和50年代後半に伊勢神楽を呼び、稲刈り後の田で神楽舞いの他、曲芸のような舞いを披露した事が私の持つ情報では村落共同体行事としての最後です。他に宮太鼓も各地区で拍子が違い、これはどこそこの宮太鼓だと拍子を聞けば地区が判りました。

ほかに秋祭りと言えば『だんじり』と『だいがく』です。布忍の『だんじり』は堺の「河村新吾」の作で明治初期のものですが「出入形(でいりぎょう)」型といって、大層古い形で現代では数少ない貴重な文化財だと思っています。『だいがく』は高見ノ里にあります。大阪府内でも数少ないもので西成区玉出の生根神社に類するものです。以前の物はもっと大きくて背も高く提灯や鈴も66個あったそうです。しかし以前はなかった太鼓が乗せられています。だいがくは河合地区にもあつたと聞いたことがありますが、今はだんじりを子供達を中心にして曳いています。他に相撲もさかんで河内13組というのがありました。
奉納相撲は大人も子供もよく頑張りました。家庭用品などの景品も出ていたようです。

大阪府文化財愛護推進委員 加藤 孜子(あつこ)

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