素敵に生きよう Vol.4(2000年11月号広報掲載)
みんなにやさしいまちづくり ~心のバリアフリーとユニバーサルデザインを大切に~
今まで、「バリアフリー」という言葉を耳にしたことはありませんか。これは、一般的に社会的弱者といわれている「障害者」や「高齢者」などにとって、「社会生活をする上で障壁となるもの(バリア)を取り除く(フリー)」という考え方です。
この考え方により、例えば、駅やショッピングセンターにエレベーターを完備し、車いす用のスロープをつけたり、障害者専用駐車場やトイレなどを整備したりしてきました。また、点字の案内板を作ったり、横断歩道に音楽を鳴らしたり、歩道に誘導ブロックを敷いたりしてきました。そのおかげで、けがをして歩きにくくなった時やとても疲れているとき、大きい荷物を持ったときなどに利用でき、生活しやすくなりました。
しかし、この「バリアフリー」という考え方で街づくりを進めていくうちに、これだけでは色々と不都合が出てきました。例えば、「駅のエレベーターは場所がわかりにくく、赤ん坊や幼い子どもを連れて出かけたとき、駅の端から端まで歩かなければならない」とか、「歩道に誘導ブロックを敷いたために、車いすやベビーカーでとても通りにくくなった」という声が寄せられるようになりました。
これは、「バリアフリー」というものが、障害を持つ人のため・高齢者のため・妊産婦のため・小さい子ども連れの人のため・外国人のためといった、「だれかのため」という考え方だからです。そのため、障害の違いにより要求が対立するなどして個々の要求に応えられなくなりました。
そこで登場するのが「ユニバーサルデザイン」という考え方です。これは、「特別な人のための特別な対策」ではなく、はじめからバリアを無くしておこうとするもので、「様々な違いを持ったすべての人にやさしい生活」をデザインするというものです。
「ユニバーサル」とは、もともと普遍的な、全人類のという意味で特定の「障害」を前提としない考え方で、できる限り多くの人に受け入れられるようにというものです。
身近なところでは、シャンプーやリンスの容器を凹凸の有無で区別しやすくしていたり、手を出すだけで水が出る自動水栓などがあります。段差のない部屋、入りやすい風呂やトイレなどが整備された家も売られています。物や建物・道路などだけでなく、街全体を、みんなが生活しやすいように創り変える取り組みも始まっています。
例えば、震災後の阪急伊丹駅は、この「ユニバーサルデザイン」により新しい駅に生まれ変わりました。駅の周りの歩道と車道の段差はなくなり、案内板は大きく見やすいもので、トイレには女性用にも、男性用にも、ベビーベッドやベビーキープがついています。また、地下の自転車置き場には、自転車用のエスカレーターも設置されており、いろんな状態の人々がとても移動しやすくなっています。
このように、「ユニバーサルデザイン」は、障害者や高齢者、子どもなどを区別するのではなく、だれもが分け隔てなく使えるモノや生活環境のデザイン、一緒に生活できる配慮のデザインといえます。私たちみんなが、心の「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」を大切にし、自分らしく生活できるようになればいいですね。