素敵に生きよう Vol.10(2001年7月号広報掲載)
「マナー」って大切だよね
相手の立場になって考えて行動することは、生活する上で欠かせないことです。
しかし、現実の問題として自分がその立場にならなければ分からないこと、気付かないことって、数多くあると思います。
従来、日本の社会では、別に人に了解を求めずとも、たばこは吸いたい人が吸うというのは当たり前のことでした。
しかし、間接的に吸うたばこの害の報告などから、吸わない人の権利を守るため、分煙しようという考えが広がりを見せています。
また近年、IT(情報技術)化が進み、相手の顔を見ないで好きな時に情報交換を瞬時にできる技術が、日々進歩しています。
そんな中、心臓にペースメーカを埋め込んだM さんが、最近、電車に乗るのが怖いとおっしゃいます。
理由は、携帯電話だそうです。
今や、国民の二人に一人が持つという携帯電話は、電話はもちろんのこと、インターネットやEメールなどが利用でき、マナーを守ってうまく使えば非常に便利な機器です。
携帯電話からは、話し中はもちろん、電源を入れているだけでも、電磁波が出て、ぺースメーカや補聴器に悪影響を及ぼすと言われています。
特に、混雑した満員電車の中では、逃げることもできず、また、誰が持っているかが分からず、常に不安が付きまとうそうです。
車内で、携帯電話の使用を控えるアナウンスはあるものの、これを聞いているのやいないやらで、携帯電話を手に、メールを打ったり、電話で話したりと、周りの乗客には目もくれず、夢中になっている人が結構います。
そのほか、電車の中の目に余る迷惑な行為に、足を伸ばして腰掛けたり、床にグループで座り込んだり、飲食をしたりと、数え上げれば切りがありません。
しかし、電話にしろ、飲食にしろ迷惑な行為をしている当人は、迷惑を掛けているつもりはさらさらないので、人の注意を素直に受け入れられなく、トラブルを引き起こすのではないでしょうか。
事実、優先座席3 人分の席を2 人で占めていた若者に、注意をした芸能レポーターが、尾行され暴行を受けたり、満員電車で奥に詰めてといっただけで、殺されてしまったりという、痛ましい事件も起こっています。
当たり前のことですが、人は一人では生きられません。人の存在そのものが、あらゆるものの犠牲や迷惑の上に成り立っているといっても過言ではありません。
相手の立場に立つということは、「ちょっとたばこを吸ってもいいですか」と聞くなど、さまざまな行為を自分に置き換えて、自分ならどう思うのか、どうしてほしいのかと、やって良いことと悪いことを見極め、当たり前のことを当たり前のマナーとして身に付けることです。そうすることで、お互いが気持ち良く過ごせ、お互いの人権を尊重することにつながっていくのではないでしょうか。