「素敵に生きよう」vol.8

更新日:2018年12月13日

素敵に生きよう Vol.8(2001年5月号広報掲載)

あなたがいたからありがとう…

 幼稚園に通いだした桜ちゃんは、毎朝泣いてばかり。桜ちゃんのお母さんは、悩んで「泣いちゃだめ…、しっかりしなさい」としかったり、自分を責めたり…

 でもそんな桜ちゃんを、近所に住むひとつ年上の梅ちゃんが、何かとかばってくれていました。朝、泣いている桜ちゃんですが、幼稚園から帰ってくると、楽しそうに幼稚園の様子を報告するのです。

 「梅ちゃんね、今日も桜がこけた時、起こしてくれて、大丈夫って聞いてくれた。めちゃ、嬉しかった。
 せやから、泣かんかった」 次の日、桜ちゃんのお母さんは、梅ちゃんに「いつも、桜に優しくしてくれてありがとう。うちの桜も、いつになったら梅ちゃんみたいにしっかりするんやろう」と、お礼を言いました。

 梅ちゃんのお母さんは、桜ちゃんと梅ちゃんに言いました。「桜ちゃんは、慣れないから泣きたいほど不安になる。でも、うちの梅が優しくしても、ほかの子だったら当たり前で終わってる…。桜ちゃんやから、あなたがいたから、梅のいいところを、私に教えてくれたんやね。ありがとう、桜ちゃん。梅、ごめんね。あんたがそんな優しい子やったなんて、お母さん、知らんかった」

 その時まで、自分は守ってもらうばかりの弱い存在だと、不安を感じていた桜ちゃんが、梅ちゃんの本来持っていた優しさ(力)を引出し、梅ちゃんのお母さんの言葉で、桜ちゃんも、梅ちゃんも、自分はこのままでいいんだと安心し、自分を大切に思い、また自分を好きになれたのではないでしょうか。桜ちゃんのお母さんは、梅ちゃんのお母さんから、「子どもはほかと比べず、その子だけを観よう。その子を丸ごと、そのまま受け入れてあげよう」と、教わりました。

 人は、一人ひとり、かけがえのないたった一つの命、個性の輝き、力をもっています。ほかの人と比べるのではなく、その人の内なる力に気づき、その力を発揮する(エンパワーメントする)には、その人の力を信頼し受けとめる、梅ちゃんのお母さんのような存在が必要ではないでしょうか。

 今のままの自分を丸ごと受けとめて、肯定する心を幼いころから育むことができた人(セルフ・エスティームの高い人)は、自分を大切にし、なおかつ他人をも大切にできるようになるといわれます。

 5月、新しいスタートから一ヵ月。新しい環境に慣れずにいる桜ちゃんがたくさんおられることでしょう。どうぞ、自分を嫌いにならないで、そのままのあなたを受け入れてくれる人たちが、きっといると信じてセルフ・エスティームを高めていってください。ご自分の周囲に、自信を失くしかけた人を見かけたら、「あなたは、そのままのあなたでいいんだよ」と声を掛けて、不安を取り除いてあげてくださいね。

(参考)
心の成長のキーワードとして、よく言われる言葉

  • エンパワーメント:一人ひとりが潜在的に持っている個性、感性、能力、素晴らしさを引き出し発揮すること。
  • セルフ・エスティーム:自己尊重意識。今のままの自分をかけがえのない存在と意識し大切に育てていく心。

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