素敵に生きよう Vol.6(2001年1月号広報掲載)
「40人に1人」といえば何でしょう
「4人に1人」これは、現在予測されている21世紀初頭における日本の全人口に占める高齢者人口の割合です。
では、「40人に1人」といえば何でしょうか。これは現在、大阪府民の40人に1人が外国籍の人であるという割合です。
私たち日本人は「外国人」といったときに、まず連想するのは欧米人、それも白色人種ではないでしょうか。しかし、現実には大阪で生活している外国人の8割は、韓国・朝鮮籍の人たちで、これらの人の多くは朝鮮半島の植民地支配などの歴史的な経緯によって、第二次世界大戦以前から日本に暮らす人々とその子孫です。在日韓国・朝鮮人で、早くから日本に移り住んだ人は、日本社会の住民になって既に一世紀にもなります。
しかし、外国籍であるという理由で、マンションやアパートを借りられなかったり、就職ができなかったり、心ない言葉や落書きで傷つけられたりする事件が発生しています。
国際化が進むなか松原市には、韓国・朝鮮、中国、ブラジル、フィリピンを始め、21 カ国の人々が、それぞれの異なった歴史、文化、習慣、宗教、言語を持ち暮らしています。
「十人十色」といいますが、誰一人同じ人はいません。みんな違って当たり前です。そして、お互いに理解し認め合うことが大切です。
アイヌに、「ウレシパモシリ」という言葉があります。これは、「地球の大地は人間だけのものではない」という意味で、大地は地球上にある万物すべての生き物が共有するものであり、この万物が、お互い助け合い依存しながら生きているということです。こういう考え方は、世界の先住民族には共通したもののようです。
私たち日本人は、外国籍の人との間にさまざまなバリアをつくったり、偏見をもっていたりすることがあります。
例えば、静岡県の宝石店では、ブラジル人女性が「外国人だから」というだけで店から追い出されたり、北海道では、入浴施設が外国人の利用を拒否したり、という事件が発生しています。
「外国人は何をするか分からない」。だから、排除する、というのでしょうか。仮にこれが反対の立場で、私たちが外国でこのような事件に遭い、「日本人は何をするか分からない」と言われたらどうかと考えると、やるせない思いがします。
宝石店入店拒否事件は、女性が静岡地裁浜松支部に提訴し、1995年に日本が批准した「(注意)人種差別撤廃条約に違反」と訴えを認めた判決がなされました。
21世紀の幕開けです。日本人・外国人といった垣根を取り払い、いろんな人とコミュニケーションできるから楽しい、またいろんなことを経験できるといったバラエティーに富んだ、平和で明るい社会が築けたらきっと素敵な暮らしができるのではないでしょうか。
(参考)
人種差別撤廃条約とは
人種・皮膚の色・民族的種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障された国際条約で、1965 年に国際連合の総会で採択されました。