「素敵に生きよう」vol.7

更新日:2018年12月13日

素敵に生きよう Vol.7(2001年4月号広報掲載)

人権意識は無意識に育てるもの

 多くの人は「落書き帳」というものを知っていると思います。

子どものころ、好きな絵を描いたり、色々な色で線を引っ張ったり、時には破ったりしたことなどありませんか?普通のノートと「落書き帳」とはどう違うのでしょうか。

 普通のノートは縦書き・横書きなど決まった書き方がありますが、「落書き帳」には、それがありません。自由に好きなようにかけることがいいところなのです。

 「落書き帳」の“落書き”とは、何でしょう? ある辞書には、文字や絵などをいたずらに書いたもの、とあります。自分のノートだけの「落書き」は気晴らしにもなるでしょうが、最近よく見かける公共の場所や建物などに書かれた意味不明の「落書き」や同和地区や外国人などを具体的な差別語などを使って書かれた「落書き」は、ただの落書きでは済まされないのではないでしょうか。

 私たちの周りには、今なお子ども、障害者、女性、外国人、病気、同和地区への差別などのさまざまな人権課題があります。また、近年の情報技術の進歩により、新たな人権課題も発生しています。

 それらの中には、パソコン通信・インターネットによるものがあります。これらは、瞬時に不特定多数の人が見ることができます。ただ、その情報の中に差別情報や人権を侵害する情報、差別表現などが含まれているとしたら、今までより比べることができないほど差別が助長拡大されるものです。

 また、内容がコピーされて、ほかに使用されるなどの課題もあります。このような多様な問題は、私たちの社会から発生したことであり、決して人権侵害を受けている人だけの問題ではありません。人権侵害というと“その被害者”だけの問題と思われがちですが、実際は“その加害者”または“その周りの人”の問題でもあります。

 人権問題の講演会や研修会に参加された人の中で、8割以上の人が「人権は大切だ」と認識しているにもかかわらず、今日さまざまな差別事件が起こっています。人権問題の基本は、人権意識が感覚の一部になっていくこと、つまり目の前で起こっている問題の不合理について「気付く」ことから始まると思います。目の前に起こっている人権侵害に気付き、人権侵害を受けた人の痛みを自分自身の問題としてとらえる意識は、急に育つものではありません。

 人権意識は、「習うより慣れよ」という言葉のように、他人から強制されるものでなく、自分自身で日常の生活の中で繰り返し、繰り返し、無意識に身体に染み付くように育てていくものではないでしょうか。

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