第4話 西除川と狭山池の大蛇

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松原で生まれ育った、昔から伝えられている民話をご紹介します

西除川と狭山池の大蛇

松原の民話第4話(2002年12月)

 本当かどうか分かりませんが、昔から「東除川の水は枯れても西除川の水は枯れない」と言ういい伝えがあります。その訳には次のようなお話が残っています。

 むかぁ~しのことです。狭山池に 一匹の大蛇がすんでおりました。語り手によっては龍という人もいますが、同じ河合に八つの畝を持つ龍の話があります。もちろんこちらも大蛇という人もいますが、祠が龍になっている事から、こちらを龍、狭山池の方を大蛇と区別しています。ともあれ、この大蛇がふとしたことから富田林の大蛇に恋をしてしまい、狭山池の大蛇は、毎日、毎日、富田林の大蛇のもとへ通い始めました。ところが狭山池の大蛇は、天に住む龍のごとく大きかったので、大蛇の通り道に田畑を持つお百姓さん達は、毎日、田畑の作物がなぎ倒されて、ほとほと困っていました。

 そこで村の人々は、みんなで集まってどうすればよいかと話し合いましたが、大蛇は百姓の命ともいえる水を守って狭山池に住んでいるだけにどうすることもできません。村人たちは二日、三日と連日連夜話し合った末に、富田林の大蛇とさやま池の大蛇を結婚させて祠を建て、そこに住んでいただこうではないかということになりました。早速、狭山池を守っている宮司を呼び、村で祝詞をあげて、大蛇を狭山池の中に建てた祠の中へと導き入れました。お陰で、村の人達は穏やかな日々を送るようになりました。

 この出来事があってから幾月日かたったある日のことでした。河合に住む男の枕元に、それは美しい男女の若者が座り、寝ている男を呼び起こしたそうです。男は夢の中だろうかと思いつつも目を覚まして見ると、二人の若者が大層礼儀正しく両手をついて、男の前で深々と頭を下げて座つていたそうです。男は驚いて飛び起きて二人の前に座り直しました。

 二人は「今日はお願いがあって参りました。私達は狭山池に住む大蛇ですが、狭山の村人たちに結婚を許して頂き、今は池の祠で幸せに暮らしております。しかし、池の中だけの生活は大層息苦しく困っております。そういうわけで、今日は河合の西除川沿いに私達の祠を建てていただきたく、お願いに参りました。河合から布忍の棉倉(棉を積む船着き場)まで行くと、川は一層深くなり、大和川までいっきに泳いでいくと体をいっぱいのばして楽しむことができます。真夜中のことゆえに、決して村人たちを驚かすようなことはいたしません」と丁寧に頼みました。二人の言葉に感動したこの男は早速祠を建てようと二人に約束したものの、真夜中の出来事ゆえに、はたして夢か幻かわからず迷っていたところ、それから数日が過ぎた朝のこと、顔を洗うためにつるべ井戸から水を汲むとチャリンと音がしたので、見てみるとお金がキラリと光っておりました。男はあれは夢ではなかったと悟ると、早速に祠を建てたそうです。でも、その祠の場所は、分かっていません。それは、男がその祠の場所を誰にもあかさなかったたので、いまだその所在は謎のままだそうです。

大阪府文化財愛護推進委員 加藤 孜子(あつこ)

西除川の写真

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