第110回 死-20

まつばらの民話をたずねて

松原の人々の一生

今月も死についての言い伝えなどを紹介します。例によって、俗信や生活習慣からくる非科学的や非文化的な行動など諸々の部分などふくめて、聞き取りした内容の中にはこんな事があったのかと笑える部分もあり、残念ながら笑えない部分もあり、人権上不適切な事項も多々あるかと思いますが、生活習慣風土が作った民俗のなせるわざとしてご理解下さいますようお願いいたします。

第110回 死-20

土葬

葬式

簡単な葬儀

出棺は、最近は朝10時と書いてあるのを見るようになり、朝から葬儀と驚いていましたが、だいたい2時から3時が、一番多いように思います。昔 は、松原は墓の焼き場で焼くので日没の後が一般的でした。土葬の場合は、帰りが遅くなってはいけないので、季節にもよりますが、やはり2時から3時が妥当と思います。しかし、最近はこうした葬儀の張り紙をみなくなりました。

葬儀は2回するわけではないが、地域の人の場合は出棺から墓迄付き合って、食事をする。

親戚縁者や地域でも特に親しい人や同業の人達は、食事が終わると墓へ棺を納めてから葬儀者の家に帰り、寺の僧を呼び経をあげてもらって、酔いつぶれる頃迄飲み食いして、仏の相手をする。そのまま雑魚寝となるひともいるが、重箱にごちそうのみやげをもらってかえるひともありました。昔は、結婚式と葬儀は同じくらい盛大に行われました。それゆえに簡単にと言え、地域全体が顔だけでも見せて来なくてはと、それなりに大変でしたが同業組織と共に土地に住む者の義理、人情も含め、互助的形態を含め大変でした。 

きっちりとする葬儀
忙しい人達や遠くからきて、葬儀が終わるとすぐ帰る人など

昭和4、50年代になると核家族も増え始め、兼業農家や休耕田が増えていくようになりました。そうした事もあってか、夜更けまでのだらだらした葬儀も少なくなってきました。

12時から1時頃軽い食事代わりにおにぎりを食べます。
このおにぎりは、御産の人が下さいと言ってくるらしい。食べると安産だと言う言い伝えがあるらしい。

出棺から墓へ

松原の場合は、墓は地域、地域にあるので、どの家からも歩いてもさして時間のかからない所に寺も墓もがあるので(寺と墓が一緒の所もあるが、少し離れた所にある所もあるが余り離れていない。)出棺して、墓へ着くと、迎え地蔵さんの前や、蓮台の上に棺を置いて、その周りまわりにある、墓の休憩所の様な部屋、又は寺のそうした部屋に上がって、喪主が墓迄来て下さった人にお礼を言って、生前世話になったエピソードなどを語った後料理を食べて、1時間から2時間飲み食いして自由解散で帰って行く。

出棺

家を出る時

棺はだいたい座敷に置いてありますので、座敷から出すのが一般的ですが、出口はだいたい玄関以外から出していたようです。玄関以外出棺出来る所がない場合は、窓からでもよいから、玄関は控えた方がよいと聞きました。

出口を出る時は出口の敷居にゴザを敷いて、敷居をまたいだ。決して踏んではいけないと言われる。
死の儀礼は日常とは反対の事をするのが常識で、着物も左前に着付け、食事も一本箸、などいろいろあるが、敷居を踏まないのは日常生活でも敷居を踏むと「親の頭を踏むのと同じ」だとしかられた経験者も多いと思いますが、敷居は「死出の山」といって敷居の上に棺を一旦おいてから運び出すところもあるらしいが、松原は踏んではいないと言うから、またいだのだろうと思います。
棺が出ると、死者が生前使用していた茶碗を、門を出る前の所でわります。投げつけるようにして割ります。茶碗を、音を立ててバシャーンとわるのは、霊が帰って来ても、もうここで食べるものはない。あの世で食べるのだと死者へ教えるのだとの事です。
また、送り火、門火、あと火などという呼び名で火を燃やす所もありました。この儀礼も霊が帰ってこないためと言う人もありますが、死者が行く道を照らすのだと言う人もあります。

墓地への道

墓地への道は、以前書いているように、墓への道には青竹に茄子など食べ物などが道の両端に差し込まれている。蝋燭、線香などをさしている所もあったようです。またお金を道道、落したりもしていたようです。墓地への道では話をしたり振り向いたり、してはいけない。霊がつくとも言いました。また、棺を運んだ人には 食事を頂く前の「キヨメ」など、それぞれにとくべつがあり大変だったようです。

ちょっと余談。一口メモ[人が死んだ時]

位牌の上座はどこか

位牌の上座は仏さんへ向かって右側が上座。だそうです。

語り手の話

主人は長男。私も長女。結婚して二所帯の位牌がありました。

嫁ぎ先の先祖代々の位牌。自分の先祖代々の位牌。主人の位牌。私の位牌

生前戒名(逆戒名)

語り手の話

主人が亡くなった時、私の戒名も作った。証書があって、それを持っていくとそれが宗派の証明証になる。『逆修之証』これを持っていると私が亡くなった時、檀家でなくても大丈夫なんだって。

大阪府文化財愛護推進委員 加藤 孜子(あつこ)

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