葱の原産地は中国西部やシベリアと推定されており、これが日本では大阪に最初に伝わり、現在の南海電鉄なんば駅の周辺で盛んに栽培されるようになりました。これが難波葱だと言われています。711年伏見稲荷神社造営に際し、浪速から京都に葱の種が持って行かれ、これが九条葱になったと言われています。また、その後関東にも伝わり、千住葱になったと言われ、難波葱は日本中の葱の祖先とされています。
難波という地名は、「鴨難波(かもなんば)」に代表されるように、葱の代名詞となっています。昔はそれほどたくさんの難波葱が大阪で生産されていました。
この難波葱は、葱の香り成分である硫化アリルを多量に含み、香り高く、柔らかくとても美味しいのですが、ぬめり成分がとても多いため、カット野菜など機械での加工が難しく、また、柔らかいため見栄えや棚もちが悪く、保存にも向かないため、近年では市場から姿を消しました。
そのような中、松原市では、この難波葱の美味しさを認識し、その味を提供し続けようと生産者が集まり「JA大阪中河内松原地区難波葱部会」を結成しました。
平成29年4月、難波葱が「なにわの伝統野菜」に認証されてからは、多くのお店で使用されるようになり、その数は現在増加中です。
難波葱に味が一番のるのは1~3月で、葱の中に大量の硫化アリルを含むゼリー状のぬめりができます。この硫化アリルは人間の基礎代謝に大きく貢献するといわれています。また、難波葱は、分けつといって株元で何本かに分裂しやすいという特徴があり、明治時代の品種カタログには、「株立(かぶだち)](分けつ)の多きこと本種に及ぶものなし」と説明されています。また、つぼみの発生数も多く、地面付近の皮の部分が赤色に着色する固体がある事が確認されています。
味覚的には、甘く優しい味で、えぐ味のないのが特徴です。他の葱と比べ根の張りもいいので、根っこを天ぷらにしても美味しいですよ。