214 天美・池内村の嶋田家住宅

更新日:2018年12月13日
嶋田家全景の写真

嶋田家全景(天美東8丁目)河内天美駅方面からのぞむ

奥座敷棟外観

奥座敷棟内部

道具蔵

大門からのぞんだ玄関書院

玄関書院正面

玄関書院内部 1

玄関書院内部 2

大門

写真は保田紀元氏撮影

国の登録有形文化財となった奥座敷棟・道具蔵・玄関書院・大門

 近鉄河内天美駅から阿部野橋方面の線路に平行して、すぐ西側に目をやると、広大な屋敷地が見られます。天美東八丁目にある嶋田正廣さん宅です。

 江戸時代、このあたりは池内村とよばれ、嶋田家は、大庄屋をつとめていました。明治初期ごろまで、木綿問屋を営み、池内村の領主であった丹南藩主高木氏にも、お金を用立てる両替商を兼ねていた時期もあったようです。

 屋敷地には、江戸時代に建てられた主屋をはじめ、明治時代の建物が残っています。このうち、明治二十年ごろの奥座敷棟、明治前期の道具蔵、明治後期の玄関書院と大門の四棟が、平成二十六年十月、国の登録有形文化財となりました。市内では、中山家(別所)・田中家(高見の里)・田中家(南新町)に次いで、四件目です。大阪近郊にある優れた近代建築として評価され、国土の歴史的景観に寄与しているとして登録されたのです。

 奥座敷棟は、主屋西側に接続する桟瓦葺きの入母屋造です。十畳の主室と七畳半の次の間を東西に並べ、次の間の南に三畳半の茶室を張り出しています。欄間をはじめとして、数寄屋を加味し、洗練された意匠を各部屋に施しています。

 道具蔵は、奥座敷棟の北側に建つ土蔵造の二階建てです。切妻造本瓦葺きで、校倉造で見られる校木を積む井籠組(木材を井桁に組んで重ね、隅は材を互いに切って組み合わせる)という当地方では珍しい壁の骨組みでつくられています。

 玄関書院は、独立した玄関棟で、南面する主屋の前面に建っています。東面する式台玄関は正面小壁を円弧状に切取り、格子をいれた優美な外観です。南側の座敷は床に丸窓を開けるなど、斬新な意匠の数寄屋建築です。

 大門は、敷地東面の南寄りに位置し、米蔵と蔵の間に建っています。本瓦葺きで、本柱内にケヤキ扉を吊るなど、雄大で重厚な風格を備えた表門です。

 これらの建物は、当時の嶋田家当主の甚平が関わったものでした。甚平は池内村やのちの天美村の村政に尽力し、その上、産業や経済の発展につとめ、教育・文化面でも貢献しています。

 文化人でもあった甚平は、個性的な美意識のもと、江戸時代以来の主屋を生かしながら、明治二十年代から洗練された意匠を持つ屋敷地を形づくっていったのでした。

 なお、嶋田家住宅は、家人がお住まいであり、一般には公開しておりません。

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