令和4年度より、課税システム変更に伴い複数の所得がある方の住民税を計算する上で、所得控除等を適用する順序が変更になりました。(年税額の総額の計算方法に変更はありません。)
令和3年度までの計算方法
確定申告等で追加された所得控除(医療費控除、扶養控除、寄付金控除等)を含め、すべての控除額が、まず給与所得等に係る特別徴収分の税額(給与天引き)を計算する際に適用されます。控除額が給与所得を上回った場合は、上回った分については普通徴収(納付書払い)、公的年金からの特別徴収(年金からの天引き)の順番で控除が適用されます。
令和4年度からの計算方法
給与所得等に係る特別徴収分の税額については、特別徴収義務者(会社等)から提出された給与支払報告書により計算され、確定申告等で追加された所得控除等については、公的年金からの特別徴収(年金からの天引き)、普通徴収(納付書払い)の順番で控除が適用されます。ただし、寄付金控除については公的年金からの特別徴収分の控除には適用されず、普通徴収分での控除となります。
*確定申告で追加された所得控除等が、その他の所得を上回る場合は、普通徴収(納付書払い)の税額は0円となり、上回った控除分は給与所得等に係る特別徴収分の税額を計算する際に適用されます。そのため、確定申告時に住民税に関する事項の、「給与、公的年金以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付」を選択しても普通徴収(納付書払い)にすることができない場合があります。
65歳以上で公的年金とそれ以外の所得がある方
上のように、控除額の適用が変更されたことにより、所得の種類が昨年と同様でも、公的年金からの特別徴収(年金からの天引き)から普通徴収(納付書払い)へ変更となる場合があります。
計算例(所得割のみの簡略化した計算例です)
65歳以上で給与所得、年金所得、それ以外の所得がある場合
給与支払報告書の内容
給与所得100万円、給与天引きされた社会保険料10万円
年金支払報告書の内容
年金所得100万円、年金から天引きされた社会保険料5万円
確定申告で追加された内容
その他所得20万円、医療費控除10万円
年税額を計算します
所得額
100万円(給与所得)+100万円(年金所得)+20万円(それ以外の所得)=220万円
控除額
10万円+5万円+10万円+43万円(基礎控除)=68万円
所得割額
(220万円-68万円)×10%=15万2千円
年税額の計算方法は、令和3年度と令和4年度で変更はありません。次に、それぞれの内訳を計算します。
令和3年度までの計算
1、給与からの特別徴収額を計算します
(100万円-10万円-5万円-10万円-43万円)×10%=3万2千円
2、公的年金からの特別徴収額を計算します
100万円×10%=10万円
3、それ以外の所得の税額を計算します
20万円×10%=2万円
以上より、給与からの特別徴収税額3万2千円、公的年金からの特別徴収額10万円、普通徴収(納付書払い)2万円となります。
令和4年度からの計算
1、給与からの特別徴収額を計算します
(100万円-10万円-43万円)×10%=4万7千円
2、公的年金からの特別徴収額を計算します
(100万円-5万円-10万円)×10%=8万5千円
3、それ以外の所得の税額を計算します
20万円×10%=2万円
以上より、給与からの特別徴収額4万7千円、公的年金からの特別徴収額8万5千円、普通徴収(納付書払い)2万円となります。