184 小川・深居神社の地車彫物

更新日:2018年12月13日
製作にはげむ高橋聖峰さん(手前)、高橋孔明さん(奥)の写真

製作にはげむ高橋聖峰さん(手前)、高橋孔明さん(奥)

 

祭礼で飾られた小川・深居神社の地車の写真

祭礼で飾られた小川・深居神社の地車(小川町だんじり会提供)

 

深居神社地車の彫物の写真

深居神社地車の彫物(1)

深居神社地車の彫物の写真

深居神社地車の彫物(2)

深居神社の彫物の写真

深居神社の彫物(3)

深居神社地車の彫物の写真

深居神社地車の彫物(4)

大阪欄間の伝統を彫る松原発の特産品の数々

 右の写真は、「伝統工芸士の作業場」と題する森下和彦さん(東新町)の作品です。昨秋の第2回「松原市観光写真コンクール」で審査員賞を受けました。このモデルになられたのが、新堂1丁目で欄間(らんま)づくりなどを営む高橋聖峰(せいほう)さん(75歳)と孔明(こうめい)さん(49歳)親子です。

 お二人は、国の伝統工芸士に認定され、河内國彫物師(ほりものし)を名乗り、主に手工業による大阪欄間の彫師として知られています。デザインから下絵までを考えて、各寺社の木彫や欄間の製作にあたったり、その培った技能を生かして、多くの地車(だんじり)彫刻をつくっておられるのです。

 大阪欄間は、江戸時代前半の17世紀初めに四天王寺・元三大師堂(がんざんだいしどう)などに採用された彫物で、江戸時代中期以降、町家の茶の間や客間の鴨居の上に用いられました。採光通風を良くし、品格を保つ室内装飾として取りつけられたのです。

 板に模様をくりぬいた「透かし彫り」や、細かく削った板を組み合わせた「組子(くみこ)」、風景や動植物を彫る「彫刻欄間」が大阪欄間の代表的なものです。

 高橋さんは、吉野・洞川(どろがわ)の大峰山龍泉寺(おおみねさんりゅうせんじ)(奈良県天川(てんかわ)村)の女人禁制の結界門に掛かる「為菩提心門(ためぼだいしんもん)」の額号を彫られたのをはじめ、大阪狭山市東野の融通念仏宗(ゆうづうねんぶつしゅう)・西迎寺(さいこうじ)本堂や和歌山県紀の川市の厄除けで名高い長田観音本堂回廊の飾彫物、藤井寺市野中(のなか)の野中神社、和歌山県串本町の潮御崎(しおのみさき)神社の社号額など多くの文化遺産を残されています。

 8月に入って、この原稿を書くため、高橋さんの工房を何度も訪れました。この時期、来年5月に曳行される神戸市東灘区の本住吉(もとすみよし)神社・山田地区の地車彫刻をつくっておられる真最中でした。

 松原の地車彫物では、小川5丁目の深居(ふかい)神社(「歴史ウォーク」37)のものが有名です。深居神社は、品陀別命(ほんだわけのみこと)(応神(おうじん)天皇)を祭神とする小川町の氏神です。深居神社では、平成11年に地車小屋が焼け、地車も失われました。このため、翌年、新しく地車がつくられましたが、飾彫物が無かったため、小川町だんじり会が高橋さんに彫物を依頼されたのです。

 大阪欄間の伝統を生かした深居神社の新装なった地車彫物は、平成13年の秋祭りにお目みえしました。

 中の写真は、平成20年10月5日に行われた深居神社の地車曳行時のものです。正面後ろの上部に「獅嚙(しが)み」が彫られ、唐獅子(からじし)が屋根に嚙みついている様を表現したもので、魔除けの意味があります。その下には、拝懸魚(おがみげぎょ)という装飾をつけています。

 左の写真は、今回、小川町だんじり会の皆様のご協力で撮影したものです。(1)は正面上の彫刻で、「獅嚙み」の下に、松に鷹があしらわれています。(2)は正面下で、土呂幕とよばれる所に「小川町」の町名を入れ、左右に波が見られます。(3)は土呂幕の両脇で、波に龍、(4)は後ろ見送りで、ぼたんに唐獅子です。

 深居神社の秋の祭礼が、今年は10月14日の日曜日に行われます。地元で古くから伝わる小川太鼓も奉納され、地車が午後1時から町内を練り歩きます。松原から生まれた地車彫刻に注目していただければと思います。

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