(かわちのくにぬのせでら(ようこうじ)のちょうさけんきゅう)
永興寺は、市内北新町にかつて所在した大寺院で、当該地域にある大林寺や布忍寺東ノ坊は、数多くあった塔頭(たっちゅう)の名残りであると言われている。
大林寺には永興寺の本尊であったとされる十一面観音立像と縁起が伝えられており、縁起には寛治3年(1089)に建立されたことが記されている。
当号はその永興寺伽藍の存在確認を目的として行った試掘調査の報告書である。
平安時代から中世に至る幻の大寺院の存在を裏付ける貴重な一書である。
内容
口絵写真(カラー)
布忍寺(永興寺)本尊 大林寺安置
- はじめに
- 位置と環境
- 調査の経過
- 永興寺本尊の十一面観音立像
- 永興寺跡の遺構
- 永興寺跡の出土遺物
- 文書に記された永興寺と永興律師
- まとめ
布忍寺(永興寺)関係の史料
- 福井県坂井郡金津町清滝出土・銅製経筒銘文〔参考〕
- 布忍寺銅鐘銘文
- 日本與地通志(河内志)
- 続日本紀 宝亀三年(772)三月条
- 蔗軒日録 文明十六年(1484)四月条〔参考〕
- 蔗軒日録 文明十六年(1484)五月条〔参考〕
- 蔗軒日録 文明十七年(1485)九月条〔参考〕
- 鹿苑日録 明應八年(1499)十二月条〔参考〕
- 永興寺 向井(中河内郡廃寺)
- 布忍山東坊縁起(布忍山東之坊)
- 布忍山永興寺略縁起(大林寺)
- 法花経を憶持する者の舌、曝りたる髑髏の中に著きて朽ち不る縁 第一
- 生物の命を殺して怨を結び、狐、狗と作りて互に相報ずる縁
- 震且法花持者、現脣舌語〔参考〕
- 沙弥所持法花経、不焼給語〔参考〕
- 僧死後、舌残在山誦法花語
- 比叡山僧明秀骸、誦法花経語〔参考〕
- 比叡山僧廣清髑髏、誦法花語〔参考〕
- 比叡山西塔僧法壽、誦法花語〔参考〕
- 比叡山西塔僧春命、讀誦法花知前生語〔参考〕
- 近江國僧頼真、誦法花知前生語〔参考〕
- 山城國神奈比寺聖人、誦法花知前世報語〔参考〕
- 元享釋書(永興法師伝)
- 法華経巻四 法師品〔参考〕
- 法華経巻六 法師功徳品〔参考〕
- 法苑珠林(四部叢刊本) 巻第ニ六敬法篇感應縁〔参考〕
- 本朝法華験記〔参考〕
- 僧廣清并びに圓久圓善歿後に法華経読誦の事〔参考〕
- 更池村古跡の事
- 布忍山永興寺謡曲
- 東大寺要録
体裁:B5判 頁59 図15 写真15
執筆・編集:出水 睦巳
発行:昭和58年(1983)3月30日
価格:600円