159 大和川今池遺跡で方墳発見

更新日:2018年12月13日
家形埴輪

展示された大和川今池遺跡・方墳出土の2棟の家形埴輪(大阪府文化財センター蔵、大阪府立近つ飛鳥博物館「古墳ってなあに?」-平成22年度夏季企画展より、7月17日から9月5日)
右が大。左が小。一般400円、65歳以上・高校・大学生300円の観覧料が必要。中学生以下は無料。

4世紀後葉から末に築造か 切妻造の家形埴輪の出土

 近年、阪神高速道路大和川線の建設にともない、三宅地区や天美地区で大規模な発掘調査が行われ、各時代の重要な遺構や遺物がたくさん発見されました。今も調査は続けられていますが、このうち、阿麻美許曽神社の参道が南側にのびる天美西3丁目の下高野街道西側の大和川今池遺跡で、一基の埋没した古墳が見つかったのです。
 これまでも、西側の今池水みらいセンター周辺などで、5世紀中ごろから6世紀初めにかけての古墳に置かれていたと思われる円筒埴輪や形象埴輪が検出されていました。
 墳丘は削り取られていましたが、地下に眠っていた古墳の存在から、天美西地区には大和川今池古墳群ともよぶべき複数の古墳がつくられていた可能性が強まったのです。5から6世紀にかけての集落跡が近くで見つかっていますので、彼ら何世代かの墓域であったかもしれません。
 古墳の中央部にあったと思われる埋葬部は、現代の用水路が通っていることから残っていませんでしたが、形は方墳でした。墳丘は東西約15メートル、南北約18メートルを測り、南北にやや長い方形です。幅5メートルほどの周濠も見つかりました。
 古墳に納められた副葬品で注目されたのは、西側周濠から出土した家形埴輪群でした。調査を担当した大阪府文化財センターの市村慎太郎さんによると、この古墳には7棟の家形埴輪が樹立していたようです。なかでも、屋根の形態が切妻造の大小の2棟が比較的良好な形で残っていました。
 大きい方は、柱を粘土板の突帯で表現し、1階建てで二間×二間に復原されます。平側や妻側に破風板を設け、妻側の屋根裏には粘土板で棟木が表現されていました。斗束も設けられていましたが、5世紀以降の家形埴輪には斗束はないと考えられており、古墳の築造年代を知る一つの手掛かりともなりました。小さな方も、1階建てで二間×二間に復原されます。柱は沈線で表現し、妻側の片方に入口と思われる痕跡がありました。
 調査は3年ほど前に終わり、平成19年6月と7月には、地元の天美西地区町会協議会の人々や天美小学校児童に対する現地公開・見学も行われました。その後も出土遺物の整理や『大和川今池遺跡2』の報告書も刊行され(平成21年8月)、遺跡の重要性が再認識されたのです。
  古墳は4世紀後葉から末ごろの、この地方では比較的古い時代の築造と考えられますが、今は道路用地となっています。現地に行っても遺構は見られないのですが、出土した家形埴輪や円筒埴輪が大阪府文化財センターによって復原されました。
 広報紙が皆さんのお手元に届くのは、9月初めで、期間が短いのですが、大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)では9月5日まで、「古墳ってなあに?」(-「こふん」なになぜ教室-)を開催しています。この展示で、切妻造の大小2棟の家形埴輪が紹介されています。天美新発見の出土品などを通して、古墳時代の社会や生活の様子の一端に触れられてはいかがでしょうか。

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