住宅用火災警報器の設置義務について
全国の住宅火災による死者数は、近年1,000人前後で推移しています。
そのうち、半数以上は「逃げ遅れ」が原因です。
また、65歳以上の高齢者が住宅火災による死者数のおよそ7割を占めており、高齢化の進展とともに、今後も増加することが予想されます。
こうした背景により、平成16年6月に消防法が改正され、全国一律に戸建て住宅やマンション等(自動火災報知設備が設置されているものを除く)において、住宅用火災警報器の設置が義務付けられ、設置及び維持の基準については、松原市火災予防条例で定められました。
・新築の住宅は、平成18年6月1日から設置が義務付けられました。
・既存の住宅については、平成23年6月1日から義務化となりました。
住宅用火災警報器とは?
煙または、熱を自動的に感知し警報を鳴らして火災の発生を知らせます。
松原市火災予防条例では、寝室、階段等に煙式の感知器が義務設置となります。
以下が代表的な住宅用火災警報器の種類です。
<煙式(光電式)>
煙が住宅用火災警報器に入ると音や音声で火災の発生を知らせます。
設置場所:寝室、階段室、台所など。
<熱式(定温式)>
住宅用火災警報器の周辺温度が一定の温度に達すると音や音声で火災の発生を知らせるもので、大量の煙や湯気が対流する場所等に適しています。
設置場所:台所、車庫など。
・右図は、煙式の住宅用火災警報器で天井に取り付けるタイプです。
(壁面に設置するタイプのものもあります。)
どれくらい効果があるの?
平成29年から令和元年までの3年間における失火を原因とした住宅火災について、火災報告を基に、住宅用火災警報器の設置効果を分析したところ、住宅用火災警報器が設置されている場合は、設置されていない場合に比べ、死者数と焼損床面積は半減、損害額は約4割減した結果となりました。
住宅用火災警報器を設置することで、火災発生時の死亡リスクや損失の拡大リスクが大幅に減少することとなります。
設置場所はどこ?
住宅用火災警報器(煙式の感知器)を設置しなければならない場所は、次の通りです。
(1)寝室
普段の就寝に使われる部屋に設置します。
子供部屋や居室なども、就寝に使われている部屋は対象となります。
(2)階段
寝室がある階の階段。
寝室がある階から、2つ下の階の階段。
(その階段の上端に警報器が設置されている場合は不要。)
(3)その他
寝室を除く居室(床面積7平方メートル以上)が5以上ある階の廊下。
具体例
(注)米印の1階階段には設置不要。また、屋外に設置された階段を除く。(引用元:総務省消防庁)
警報器を設置する必要がなかった階で、
寝室を除く居室(床面積7平方メートル以上)が5以上ある階。
取付位置はどこ?
天井や壁面に取り付けることとなりますが、具体的には次のように定められています。
(1)天井
警報器の中心(感知器)を、壁から60センチメートル以上離して取り付けます。
天井にはりがある場合は、はりから60センチメートル以上離します。
(熱式の場合は40センチメートル以上となります。)
(2)壁面
天井より15から50センチメートル以内に警報器の中心(感知部)がくるように設置します。
(3)エアコンなどの吹き出し口付近
エアコンや換気扇の吹き出し口付近では、150センチメートル以上離して設置します。
警報器が鳴動したときは?
住宅用火災警報器が鳴った場合
まずは周囲を確認してあわてずに行動しましょう。
住宅用火災警報器の普及に伴い、電池切れ等による警報音を火災と間違え、消防への問い合わせが多くなることが予測されます。
まず「火災」か「火災でない」かを調べ、次の行動をしましょう。
火災の場合
・火元を確認しましょう。
・「煙が少し出ている」、「炎が少し見える」といった場合は消火器などで消火してください。
・「煙が充満している」、「炎が天井まで立ち上っている」といった場合はすぐに避難し、周囲に大きな声で火災の発生を知らせてください。
・119番通報を忘れずに。
火災でない場合
・異常がないか周囲をもう一度確認しましょう。
・火災以外でも次のような場合には住宅用火災警報器が鳴ることがあります。
(1)調理時に大量の煙や湯気が発生したとき。
(2)くん煙式殺虫剤を使用したり、スプレー式殺虫剤が直接かかったとき。
・ひんぱんに鳴る場合は、取付位置を変更してください。
近隣で警報器が鳴っていた場合
・煙や炎が出ていないか確認してください。
・火災の場合は119番通報し、周囲に火災の発生を知らせてください。
・初期消火、避難誘導、消防隊の誘導などにご協力をお願いします。
警報音の止め方(火災でないことを十分に確認しましょう)
住宅用火災警報器に付いている警報停止ボタンや、本体から下がっているひもを引くなどして警報音を止めることができます。
詳しくは、購入した際に付いている取扱説明書を確認してください。
(注)警報音を停止するボタンを設けていないタイプは、感知部分に流入した煙等を取り除くか、中の電池を一度取り外さないと警報音は停止しません。
日頃のお手入れや交換時期は?
定期的に点検をしましょう。
住宅用火災警報器が適切に機能するために維持管理が重要です。
「いざ」というときに、きちんと作動するよう日頃から作動確認を行いましょう。
維持管理については、下記のリンクもご覧ください。
10年たったら、とりカエル。 (一般社団法人 日本火災報知機工業会)
点検は、警報器のボタンを押す、本体から下がっているひもを引くなどして、警報音若しくは音声が鳴るかを確認します。
なお点検方法は、ひも式とボタン式があり、機種によって異なります。取扱説明書を確認してから点検してください。
次のときにも必ず作動点検をしてください。
・初めて設置したとき。
・設置場所を変えたとき。
・電池を交換したとき。
・汚れなどの清掃をしたとき。
・長期留守にしたとき。
・故障や電池切れの疑いがあるとき。
住宅用火災警報器に埃やクモの巣などが付くと、火災の煙を感知しにくくなります。1年に1回は、乾いた布で拭き取るなどして掃除をしましょう。
なお、水洗いや、ベンジンやシンナーなどの有機溶剤の使用は、故障や破損の原因となるため、絶対に行わないでください。
交換時期について
住宅用火災警報器は、概ね10年で本体ごと交換が必要です。
(一部5年のものもあります。)
本体に、自動試験機能付の文字か有効期限のいずれかが表示されています。
詳しくは、取扱説明書を確認してください。
(注)住宅用火災警報器が故障した場合などは、購入した販売店やメーカーに問い合わせをしてください。
奏功事例
近年に松原市内で発生した、住宅用火災警報器に関する奏功事例の一例です。
タバコによるもの
事例1 (発生日:平成30年3月)
出火室の隣人が帰宅した際、出火室の玄関戸の隙間から出ている白い煙と室内での住宅用火災警報器の鳴動に気づいたため、119番通報を行いました。本事案は、ポケット灰皿に処理したタバコの吸い殻が落下し、布団に着火したものでした。居住人は外出中ではありましたが、早期の発見となりました。
事例2 (発生日:令和2年1月)
居住人がタバコの吸い殻を捨てた際、誤って座布団に落下したことで、着火しました。台所に設置された住宅用火災警報器(煙、ガス、一酸化炭素を感知する大阪ガスの一体型感知器)から移報された情報を大阪ガスセキュリティサービスのセンターで受信し、同センターから居住者に対して電話連絡を行うとともに、消防本部に火災の疑いがある旨を119番通報しました。
調理によるもの
事例3 (発生日:平成30年5月)
隣人が住宅用火災警報器の鳴動に気づき屋外へ出たところ、窓から白煙が噴出しているのを確認し、119番通報を行いました。居住人は外出中でありましたが、鍋の空焚きにより発生した白煙を早期に発見し119番通報したため、火災には至りませんでした。
事例4 (発生日:平成30年6月)
近隣住民が住宅用火災警報器の鳴動に気づき付近を確認したところ、窓から白煙が噴出しているのを確認し、119通報及び初期消火を行いました。居住人がガステーブルのグリルを消し忘れ外出したことにより、白煙が発生したものでしたが、早期の発見により火災には至りませんでした。
消防職員は住宅用火災警報器を販売しません!
「消防署の方から来た」と偽ったり、「住宅用火災警報器の調査に来ました」と勝手に設置して販売したり、出入り業者または契約業者を装って不当な価格で住宅用火災警報器の訪問販売を行ったりする業者がいますのでご注意ください。
次のことに留意して、被害にあわないようにご注意ください。
・身分証明書の提示を求めましょう。
・官公庁職員を装った訪問販売の場合は、職員が在籍しているか確認しましょう。
・契約書をよく読み、むやみにサインするのはやめましょう。
・相手が脅迫行為にでた場合は、速やかに警察に通報しましょう。
もし、「おかしいな」と思ったり、被害にあったときは、すぐにご相談ください。
松原市消費生活センター 072-337-3080
松原市消防本部予防課 072-332-3304
パンフレットと映像
住宅用火災警報器に関するパンフレットと映像となります。
(注)ミルクボーイ×大阪府下消防長会予防委員会の映像は、YouTubeにリンクしています。視聴後、消防本部と関連のない動画が表示されることがあります。
パンフレット(発行元:一般財団法人 日本防火・防災協会)
住宅用火災警報器の適正な設置と維持管理マニュアル(PDFファイル:7.1MB)
「住宅用火災警報器PRハンドブック(ダイジェスト版)」(PDFファイル:1.3MB)
映像(引用先:総務省消防庁及び大阪府下消防長会予防委員会)