- 種類:松原市指定 有形文化財 美術工芸品 絵画
- 記号番号:絵第1号
- 名称:来迎寺紙本著色融通念仏縁起絵巻(らいごうじしほんちゃくしょくゆうづうねんぶつえんぎえまき)
- 員数:2巻
- 時代:室町時代 文亀2年(1502)
- 所在地:大阪府松原市丹南3丁目1番22号
- 所有者:宗教法人 来迎寺
- 指定年月日:令和3年(2021)6月15日


融通念仏縁起絵巻 上巻 序文

融通念仏縁起絵巻 上巻 融通念仏勧進開始の段

融通念仏縁起絵巻 下巻 鳥羽院の日課念仏の段

融通念仏縁起絵巻 下巻 正嘉疫癘の段

融通念仏縁起絵巻 下巻 光明遍照の段

融通念仏縁起絵巻 下巻 奥書
説明
概要
融通念佛宗寺院の諸佛山護念院来迎寺に残る上下2巻の絵巻で、上巻の長さが約11m、下巻の長さが約13mです。
融通念仏縁起絵巻は、平安時代の僧である良忍(1073-1132)の伝記と念仏の霊験譚から成り、融通念仏の起こりとその教えが初めて絵巻としてまとめられた画期的な作品です。正和3年(1314)に最初の絵巻が作られて以降、江戸時代に至るまで多くの絵巻や本が作られました。
絵巻の最後には奥書があり、それによると来迎寺に伝わる絵巻は室町時代の文亀2年(1502)に真言僧の行慶が転写したもので、元となった絵巻は南北朝時代の至徳3年(1386)に大和国葛下郡片岡東の中臣俊章が良鎮という僧の呼びかけに応えて寄進したものであることが分かります。良鎮は、融通念仏の教えを広めるため100本余りの絵巻を日本全国に配布し、融通念仏の集団へ加入した人々の名を記した名帳を当麻寺の瑠璃檀に納めるために活動した勧進僧です。これまで、絵巻の奥書より大和の豪族2人が寄進者として知られていましたが、来迎寺の絵巻奥書により3人目の寄進者が判明しました。
また、奥書には元和9年(1623)に布忍清水村(現在の松原市南新町あたり)の僧である喜兵衛入道浄安が来迎寺に納めたことも記されています。しかし、彼が何者でどこからこの絵巻を調達したかは記されておらず、絵巻が制作された後の100年間の足取りは不明です。
絵巻の現状ですが、所々内容の欠けた箇所がありそのうち一部は後世に補われています。また、話の内容が本来のものと異なる箇所も見られます。しかし、全体としては残りが良く、絵の彩色も鮮やかさを保っています。絵の画風は専門絵師の洗練されたものではありませんが、人物の表現、定規を使った墨引き、丁寧な彩色、画中画の存在など室町期のお伽草紙絵巻や奈良絵本にも通ずるものが見られます。
この絵巻は松原市を代表する室町時代の貴重な絵巻であり、美術史学及び歴史学の研究においてきわめて学術的価値が高く、本市指定文化財にふさわしいものです。
資料
松原市指定文化財調書_絵第1号 を見る/PDFファイルを開く (PDFファイル: 5.1MB)
たじひのだよりNo.21 を見る/PDFファイルを開く (PDFファイル: 9.9MB)
調査報告書『松原市内所在の文化財総合調査1-丹南・来迎寺-』のページに移動する
外部リンク
オープンデータ
文化財一覧データセット(松原市/松原市オープンデータカタログサイト)