111 頓随寺本堂と阿弥陀如来像

更新日:2018年12月13日
頓随寺本堂内部
阿弥陀如来像
 

独創的な虹梁架構の本堂天竺衣・截金細工の本尊

 別所6丁目の古い町並みの一角に頓随寺が建っています。浄土真宗大谷派で、山号を鳳凰山と称します。寺の北隣りには、国の登録文化財に指定された中山経正さん宅(「歴史ウォーク」100)があります。また、西側には、別所公民館や熱田神社(「歴史ウォーク」38)がのぞまれ、神社の前は堂ヶ池を埋めた公園が整備されて、人々の憩いの場所ともなっています。
 頓随寺は、今から500年ほど前の室町時代後半に創建されたと伝えられています。本堂に掛かる親鸞上人画像の裏書に寛文8年(1668)、聖徳太子画像や七高僧画像の裏書に寛文9年(1669)の時、本山の東本願寺十五世である常如が、「河州丹北郡別所村惣道場頓随寺」にこれらの真影を下したとあります。このことから、江戸時代前半には今のような寺の形態をとっていたようです。江戸時代を通じて、八尾の大信寺(八尾別院)の末寺でした。
 現在の本堂は、内陣と外陣の境にはめられた欄間に「宝暦六丙子七月日 施主大坂上難波町 河内や宗山」と書かれていますので、ちょうど250年前の江戸時代中ごろの宝暦6年(1756)に建てられたことがわかります。
 本堂で注目されるのは、外陣に架かる虹梁に施された雲形などの意匠が奇抜なことです。また、「かえるまた」で支えられる虹梁が中柱の奥行のみに架けられているのも珍しいといえます。ふつう、簡素な江戸時代中ごろまでの一般の真宗寺院からすると、独創性をもった本堂といえるでしょう。
 次に、内陣に祀られている本尊の阿弥陀如来像を見てみましょう。仏さまは、寺の創建時と伝えるころとほぼ同じ室町時代後半の作です。ヒノキ材の寄木造りで、高さ69センチメートルを測ります。全体は漆で塗られ、目にはめこまれた玉眼は水晶製です。
 中でも、興味をそそられるのは、仏さまのまとっている衲衣が環をつなぎ合わせたヒモで吊られる「天竺衣」という珍しい衣装で表されていることです。そのうえ、衣装には截金細工という金箔を裁断して貼り合わせる特異な工程が施してあり、繊細で優美な作風をかもしだしています。 また、仏さまが立つ台座は江戸時代様式によくみられる八角蓮華座で、同時期特有の各段の重なりが十九段と多く、ここでも蓮華に截金が施されています。
 本尊の横には、江戸時代までの神仏習合期の熱田神社で祀られていた阿弥陀如来像や、堂ヶ池より拾い上げられたと伝える「藤原光長」の銘をもつ阿弥陀如来像も安置されています。
 なお、薬医門の形式をとる表門の南側に建つ鐘楼も、本堂と同時期の江戸時代中ごろの建物です。一間四方吹放し形式の切妻造で、木柄が太く、この時期の中でも質のよい鐘突き堂として知られています。

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